ビンゴと離れた1週間、ビンゴとすごした1日

1週間程前にビンゴからこんなことをささやかれました。
「ねぇ、僕たちは良いチームだったよねぇ」
「だったよねぇ・・・っていうのはさ、これまでがそうだったってこと」
「だって、よく考えてごらんよ」
「レッスンのデモは、1ヶ月もやっていない。あのおてんばゴールデンで終わりさ」
「フリースタイルもラストダンス踊ったでしょ」
「毎日レッスン場にも欠かさずついてきたけど、もう駐車場から歩くのだってつらいんだ」
「稽古だってたのしくやってきたけど、今出来る事って何?・・・アイコンタクトとってすこし歩くくらいでしょ」
・・・・・
「ぼくたちはみんなの指針でしょ・・・お手本なんじゃないのかな?」
「それがこんなことでいいのかな?」
「ぼくは疲れたよ」
「だから1週間あげるからひとりになってよく考えてごらん」
・・・・・
その日の夜、私は激しい腹痛におそわれ、緊急入院することになった。
けれど痛みが和らいだので翌日には退院した。

帰ってビンゴにただいまを言うと
「なんだよ、なさけないなぁ〜もう帰ってきたの?」
・・・・
そしてその夜またしても腹痛にみまわれてそのまま入院
今度は簡単に痛みはひかなかった。
痛みにこらえながら、何も考える事が出来ない状態だった。
痛み止めをうてば、そのまま眠りにつくという数日がつづいた。

私はわずかな時間だがビンゴのことを忘れていたように思う。
それが本当かどうかはわからないが、何かこう、自分の歩むべき先を見つめようとしていた。
そして痛みの取れた3日目に、私はふらふらと病室をでた。
導かれるように私は病院の図書室に入っていった。
そこでいくつかの本を手にとり、私は活字の世界に没頭した。
私が読んだ7冊の本は犬にかかわる本ではなく、弱い立場へのおもいやりにあふれた本ばかりだった。
そこから沢山の感動を得る事となり、わたしは次に進むべき道をすこしみつけたように思った。

そして退院のすこし前
私は寝られなくなった。
思い出すのは・・・・そうビンゴのこと。
しかし以前の私の思い出すビンゴとは違っていた。
ビンゴはもう私にさよならをする準備ができていた。
しかし私はそれに気がつかないままにいた。
その時、私は決意した。
ビンゴとさよならをしなくてはならないんだ・・・
いつまでも一緒にいたいだなんて・・・・そんなことは命の原理に逆行している。
なにを求めているんだ・・・もう十分にわたしたちはやってきただろう・・・・
帰ったらビンゴにさよならを言わなければいけないな・・・

退院の日がやってきた。
わたしはビンゴに会いたかった。しかし焦りはなかった。それに今までとは何かが違った
玄関のドアをあけると、そこに横たわったビンゴがまっていた。
鼻から出血して血だらけだった。
しかし彼の顔は明るかった。
何か言いたそうに私の目を見る。
今思うと彼はこう言っていた
「おかえり」
「良い顔してるね・・・・吹っ切れた顔だね」
「そういう顔がぼくは好きだな」
「最近はなんだか暗かったよ」
「ぼくはね、もう限界なんだ」
・・・・そんなことを言っていたように思う。

それから私はビンゴとすこしゆっくりした。
息苦しさはあるものの、ビンゴも穏やかな表情になった。不思議なことに鼻からの出血もとまっている。
夕方になって明和愛護動物病院に向かった。
検査をして先のことを考えた。
もうほとんど時間が残っていない事を理解した。
その夜はビンゴと添い寝した。
そして会話した。
「ビンゴよ、いままでありがとうなぁ」
「何をやってもおまえと一緒だったから、楽しかったよ」
「いつも同じ方向をむいて進んだね」
「いつもおなじ景色をみてきたね」
「いつもおなじことを感じ取っていられたね」

「おまえが1週間前に言ってた事、ようやくわかったよ・・・」
「もういいんだよ・・・がんばらなくていいんだよ」
わたしはビンゴの輝く瞳に約束をした
私は大丈夫だからと・・・
翌朝、わたしはビンゴのごはんをつくった。
わたし自身はこの日から朝食をパン食からごはん食に切り替えた。
日本の昔ながらの粗食がテーマだ。
ご飯一膳、発酵食品、海苔、小魚そんなところ。
この日は納豆を食べた。
だから当然にビンゴのごはんにも納豆が入ってくる。
おれたち臭い仲だからなぁ・・・なんて思ったかどうかはわからないが
ビンゴはよろこんで私の手作りごはんをたべた。
この日も完食・・・これまで残した事が一度もない。
それからトイレに出して一休み。
わたしはすこし用事があったので小一時間ほど出かけた。
帰ってくるとビンゴがにこにこしています。
お互い良い顔してるね・・・と思ったかどうかは定かではありませんが、なんとなくそんな会話をしたような・・・
しばらくして昼食をとりました。
するとビンゴが私の足下にやってきました。
そう、私からいろんなものをもらおうという魂胆です。
最近の私はビンゴにいろんなものを食べさせています。
本当はよくないようなものもどんどんあげています。
この日はマヨネーズ付きのブロッコリーとカリフラワー
そして、デザートの杏仁豆腐をあげました。
満足そうな顔をしています。
食後にビンゴを外に連れ出すと、そこでうんちをしました。
それから私は疲れたのでソファで横になりました。
ビンゴはいつもの階段の下・・・
しばらくするとビンゴの息づかいが荒くなってきたのが聞こえてきました。
私は見に行くのをすこし躊躇しました。
なぜ躊躇したのか・・・それは自分にもよくわかりません。
でもその後、すぐにビンゴの息づかいがさらに荒くなります。
私はビンゴの元にいくと、ビンゴは、どこにそんな笑顔があったんだ!というくらい素敵な笑顔としっぽを2度ふって迎えてくれました。
けれどそれは一瞬であり、そのあと、もう息もできないほど苦しい状態がつづきます・・・
私はどうしてあげることもできません。
ただ手をとって、目を見つめ合うだけです。
ビンゴもどうしていいかわからないような感じですが、一生懸命に呼吸を整えようとします。
ビンゴの聞こえない耳元で私は叫びました。
「ありがとう!」「もういいよっ!」「聞こえたかっ!」
するとビンゴは私に向かって大きく首を縦にふりました。
まぎれもなく彼はうなづいたのです。
あぁ、つながっている・・・わたしはいまビンゴとつながっている・・・その喜びと悲しさでごちゃまぜの感情が交差します。
私は鼻に水をすこしかけてあげると、ビンゴは一瞬呼吸が楽になり、苦しさが消えました。
それからビンゴは自力で立ち上がり、ベランダに向かいました。
ドアをあけて手招きすると、意を決したようにベランダにでます。
そしておしっこをしました。
ふたたび部屋にもどり、ビンゴはいつもの階段の下に入ろうとしました。
その時、ビンゴの足は痙攣し、呼吸が一瞬とまりました。
そして私の元に倒れ込みました。
それから何度か息をしました。
ずっと私はビンゴの目を見続けていました。
私は一生懸命に笑顔をつくりました・・・きっとかなりひきっっていておかしな笑顔だったかもしれません。
でも、彼が私から去っていく時、私の悲しむ顔でお別れなんてできません。
だから、だから心を込めて笑顔を作りました。
ビンゴの呼吸がとまりました。
もうビンゴの目のなかに私はいません・・・
どこか遠くを見ています・・・空で飛んでいるような目です。
アウラ・・・aura
それは独特な雰囲気でありラテン語ではそよ風を意味します。
ビンゴはこれからは私のまわりをそよ風のように気持ちよく流れているのでしょう

私は泣きました。深い悲しみはたぶん消えません。
この喪失感はなんだろう・・・
体をきれいにふきました。
それから私はビンゴを大好きだった、最後に戻ろうとした階段の下の小さな空間にいれてあげました。
その姿はまるで生きているようです。
それからわたしはいっぱいビンゴとおしゃべりをしました。
頭もぽんぽんたたいたりして、いつものようにふるまってみたりして過ごしました。
もう一日添い寝します。
そして水曜日の午後に火葬です。
朝にはビンゴをレッスン場につれていきます。
ビンゴとすごしたあの幸せな空間につれていきます。
ブラシをかけて、のびた毛をカットして、沢山花を用意して見送る準備をします。
骨になったらまたレッスン場に連れていきましょう
きっとみなさんも会いたいですよね。
だからしばらくはレッスン場にも連れてきます。
どうぞビンゴにさようならを・・・お願いします。
ありがとう、さようならと

※ブログ村のランキングが1位で継続されています。
いつも押していただきありがとうございます。こんなちっこいおやじのブログですが、これもまたビンゴ効果なんでしょうね。みなさんにもビンゴにもありがとうを伝えたい。そんな気持ちでこれからも書き記します。
2015年後期のグループレッスンスケジュール
新しいアウラのご案内
ブログ村のランキングに参加しています。このお話に共感いただけましたなら下のマークを押してくださいね。
にほんブログ村 犬ブログ ドッグスポーツへ
関連記事
プロフィール

aura

Author:aura
町田市と稲城市にあるアウラドッグトレーニングアカデミー
の西田です。
訓練所ではなく、犬とのコミュニケーションづくりをサポー
トしています。
ブログでは私が感じた事を思うがままに綴っています。
ときにはやさしく、ときには厳しく綴りますが、特定の人や
犬に対する記事は一切ありません。
読まれた結果、どのように感じ、どのように触発され、行動
を示されるかは私にはわかりませんが、どんな時にも前向き
にとらえて読んで頂けると幸いです。
うちのボーダーコリーのビンゴは、重度の股関節形成不全でしかも耳が100%聞こえませんが、それでも沢山の経験を共にし、障害を越えて、健常な犬達と同じかそれ以上の結果さえも得ています。
なにもあきらめるものはありません。自分達の向かうイメージを持って、ひとつひとつの努力した点を線につなげ、面にしていくプロセスを楽しむ事で結果はおのずとついてきます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード