犬の話 場を読む力

今日は川遊びレッスン前の準備日です。そして翌週の手作り食セミナーの資料の見直しをします。
手作り食セミナーの資料は何度も何度も見直しをしていますが、それでも足りない・・・
不足しているなぁとおもうことばかりです。でもだからといって書き入れていくとどんどん散漫になるばかりです。
けれど一般的な書籍のような薄っぺらいものにもしたくない。
この狭間でうごめきながら、専門書でもなく、薄っぺらい本でもなくを追求しているのですが、なかなか難しいですね〜
さて、その狭間ということでいうと、犬同士の距離感ということですこしお話をしたいと思います。

「場を読む力」というのが犬にはあります。
我々とは違ったコミュニケーション能力を使って互いの居場所を作っていく力ということなのですが、これにはいくつかの法則のようなものがあります。

まずはじめに、本来動物達というのは無益な争いはしません。
生きていくための争いの基本は補食行動です。必要以上の食べ物を得たとしてもそれをストックするシステムを持たない動物達は、蓄えないし、蓄えて安心するための争いも競争もほとんどしません。
蓄えにおける争いをするのは道具を使うハイレベルな知能を持った人間です。
ですから余計な狩りはしません。
オオカミの場合は単独行動では狩りをせず、ほとんどの場合群れによる行動が基準になっています。
その群れの単位は家族です。
親兄弟親戚といった遺伝子の中で集団を作り行動をします。
その集団の中では小さな争いはあるものの、その中で血をみるような争いは起こりにくいものです。
なぜならば、彼らは狩りを成立させ、命の存続を行うたに必要なパートナーだからです。
パートナーが傷ついてしまえば狩りが成功する確立は減りますし、自分自身が得られるべき食べ物も減る事になります。
そのような無益な行動はとりません。
ところが稀に、そうしたルールが守れない個体もでてくるわけです。そうするとそうした個体は仲間はずれになります。
群れからなんらかの理由で出てしまった個体においては自分で生きていく術を身につけて狩りをしていくことになります。
でも大半の場合はそうではありません。
この話は奥が深いのでこのくらいにしておきますが、では私たちと暮らしている犬達はどうなのでしょうか?
犬達は狩りをしません。一般的な家庭で暮らしている犬やそれを目的にブリードされている場合は野生と動物とは異なった性質や行動、そして環境によって個体の性格が決定づけられていきます。
これは例えるならば野生馬と乗馬ようの馬がまったく異なる性格であることに似ています。
ライディングホース(乗用の馬)のブリードの場合、従順で安全な、しかも能力の高い乗用馬が求められます。
そのためには体型は勿論、メンテリティにおける配慮のされたブリードが求められます。
刺激に対する反応が極端でない性質や集中力、環境に対する順応性や、同種異種にたいする順応性。あるいは従順である反対側にある反抗心や逃避行動が適切に備わっている等の社会的行動の高さにおいても極度に不足していないことが求められます。もっとも乗馬するためには何年もの歳月をかけてトレーニングをしますし、安全という面では車に乗ることと同じかそれ以上の配慮が求められます。
犬のブリードにおいてもそれは同様に求められますが、日本では簡単に犬が手に入るシステムであるために、そのあたりは乱雑であると言わざるを得ません。
ですから生まれもってこうした能力が弱い個体もいることは事実です。
しかしながら個体の性格と行動を決めるのは遺伝子だけではありません。むしろその後の環境要因である「社会化」が高い因子としてあります。
子犬の頃の社会化期に適切な社会化を行う事や、思春期以降の難しい時期をどう過ごせたか。日常生活の中でどれだけの刺激とふれあっているか。さらには飼い主さんとの意思疎通がどれだけできているか、といった様々な環境要因によって行動は決定づけられていきます。
この話のはじめに「無益な争いはしない」ということを述べました。
「無益」かどうかを決定づけるのは「遺伝子」と「環境」が大きく起因しています。
欧州の犬達の環境を見ると、子犬の頃から社会化のトレーニングと飼い主さんとのコミュニケーションに関わるトレーニングがなされています。それは犬を買えばあたりまえのようにすべきことだという「意識」と「社会のしくみ」が備わっているからです。もちろん排泄物を拾わないとか、それ以外の問題がないわけではありませんが、すくなくとも日本とは異なる環境があります。
そして、成犬になるとノーリードでどこにでも行く事ができます。勿論飼い主さんも一緒です。
街を歩いていても、いったいこの犬の飼い主さんはどの人なんだろう?とおもえるような距離感でいたとしても、迷子になるわけでもなく、ちゃんとある一定のリズムでお互いの存在を認識しています。
全ての犬と飼い主さんがそうできるわけではありませんから、中にはこっぴどく叱られている犬もいるし、リスクヘッジの下手な飼い主さんもいます。でも、少なくとも問題のおきにくい環境は十分にあります。
一方で日本は「犬は鎖でつないで飼え」が基本です。勿論外でノーリードは禁止です。
さらには社会化や飼い主さんとのコミュニケーションに関わるトレーニングにたいして消極的です。
すると当然のことながら「場を読む力」というものが備わりにくくなります。
結果的に無益か無益でないかという判断に狂いが出てきます。
そうなるとそうした犬達は極度の緊張や興奮によるストレスにさらされる事になります。
そうした情動は私たちだけでなく対する犬にも伝わります。
密度が高いリード付きでのセッションでは緊張も高まり、よからぬことにつながることもしばしばあります。
勿論犬に責任はありません。
経験が少ないのですから当然です。飼い主さんとの関わりが薄いのですから当然です。
しかしながら、そのどちらかがある程度得られているのであれば試してみるチャンスはあります。
勿論リードはつけてはなりません。
空間は広すぎず狭すぎずです。
飼い主さんは関与してはなりません。
緊張もできるだけしない状況作りが必要です。
できれば無視していられるくらいでちょうどいいです。(無視とは本当にみていないことではない)
そして経験の中で学んだ事をストックすることは成犬であっても可能であるということを犬も人も学ぶことが大切です。
場合によっては小さな怪我もあるかもしれません。
しかしながらそうやって場を読む力を持たせてあげることはその犬と人の社会というフィールドを広げることにつながるのです。
残念ながら広げたところで日本は「犬は鎖でつないで飼え」なので出るところがありませんが、少なくともアウラではそれを賄える空間があります。
犬は「吠える」「飛びつく」「噛む」「追いかける」・・・そうした行動が基準でありながら、ライディングホースではないけれど、そうしたことが抑制できる意思を持つ事で「場を読む力」は備わっていくのです。
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プロフィール

aura

Author:aura
町田市と稲城市にあるアウラドッグトレーニングアカデミー
の西田です。
訓練所ではなく、犬とのコミュニケーションづくりをサポー
トしています。
ブログでは私が感じた事を思うがままに綴っています。
ときにはやさしく、ときには厳しく綴りますが、特定の人や
犬に対する記事は一切ありません。
読まれた結果、どのように感じ、どのように触発され、行動
を示されるかは私にはわかりませんが、どんな時にも前向き
にとらえて読んで頂けると幸いです。
うちのボーダーコリーのビンゴは、重度の股関節形成不全でしかも耳が100%聞こえませんが、それでも沢山の経験を共にし、障害を越えて、健常な犬達と同じかそれ以上の結果さえも得ています。
なにもあきらめるものはありません。自分達の向かうイメージを持って、ひとつひとつの努力した点を線につなげ、面にしていくプロセスを楽しむ事で結果はおのずとついてきます。

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